木内鶴彦「生き方は星空が教えてくれる」

生き方は星空が教えてくれる

立花隆の「証言 臨死体験」や最近では森達也「オカルト」その他でもその特異な体験が採り上げられることの多い著者の人生観、宇宙観が語られた著作です。

興味深いのは瀕死の状態で肉体から遊離し、まず自分の姿を見たのは父親の視点だったという話で、その後この体験から他人の「中に入る」というテクニックを身につけ、過去の様々な人の中に入り現世へエビデンスを残すというにわかには信じ難いことをやってのけていることです。

そのエビデンスの一例として知られているのは、ある神社仏閣の過去の創建時に宮大工の中に入り、建物の柱に「つる」という文字を刻み、その後本当にその文字が確認されたという話で、この著作でも他人の中に入るには、その人がボーっとしているところを狙うのがコツだとまで書いています。この辺りが通常よく語られる臨死体験とのレベルの違いを感じさせます。

曰く、死後の世界は退屈だと。この世は退屈で均質な無に生じた一時の「ねじれ」のようなものであって、そこにこそ人生の面白みがあると言うのです。

単なる死後の光景を眺めるだけの体験に止まらず、そのチャンスを活かして旺盛な好奇心から様々な仕掛けをするという他に類を見ない体験は、現在氏の取り組む環境問題に対する経験的基盤となっているようです。

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