骨牌占(参考文献)
久しぶりに記事投稿ということで骨牌、つまりトランプ占について。
占には命と卜とがあって、命の代表は子平、八字占とも言われる四柱推命や紫薇斗数、陶宮術などがこれに入り、周易、断易、亀卜などが卜に入る。トランプ占いもこの卜の分類だろう。
占いというものを運命学という括りから解放し、視点を変えることで得られるいわば発想法の一種と受け取れば、トランプ占いもあながち手すさびの暇つぶしではなく途端に意味のあるものとなる。
ということで、手持ちの関連書を引っ張り出してみた。
まず最初は久保清「トランプ占い」(虹有社、1989年改訂第一版)。
6以下の数札を使わない32枚の占から52枚の占までの意味を解説しており実占に使えるものとなっている。札の正位置、逆位置は見ない。ちなみに32枚の占はもともと欧州のトランプが52枚とは限らず、フランスのピケなど地方により枚数が違うことから来ている。52枚フルセットが世界のスタンダードではないのだ。
次はアレクサンドリア木星王「秘法・カード占い入門」(日本文芸社、1984年)。
著者は日本におけるタロットの草分けであり紹介者。本書もタロットやプチ・ルノルマンなどとともにトランプ占いに一章を割いている。この書も正逆を取らない方式。タロットと異なりトランプはデザイン的に正逆を取らないのが実践的なのだ。後で紹介の書のように正逆をみるためにトランプに印をつけるというやり方に痛烈な批判を述べている。これも32枚と52枚の象意を簡潔に記載。その象意はKevin Martinの解釈によると正直に断りを入れている。このKevin Martinという方についてネットをしらべたが、70年代頃に活躍されていたトランプ占術家のようでAmazonに著書も見つかるが、現在は絶版で入手は難しそうだ。
しかし木星王氏の著書はどれも読み物として面白くつい読み込んでしまう。
次は火星人「トランプ予言入門」(1980年、KKベストセラーズ<ワニの本>)。
この人を食ったようなペンネームがどなたかは分からないが、この新書の体裁で受ける印象とは裏腹に、おそらく日本におけるトランプ占の最も詳細かつ実践的な本だと思う。20年程前に古書で入手したときにはカバー欠のため仕方なく背の写真となっているが、これも正逆を取らない方式。また実占例も豊富。それ以前に、占い師の心構えなど内容は入門書を超えた本格的なものだ。前書きに記載の、著者が主催していると思われる「多摩運命学研究所」をネット検索してみたが殆ど情報が見つからないのが残念だ。もし古書店等で見かけたら買っておいて損はない。
最後に西村幸夫「トランプ占い入門」(1989年、日本文芸社)。
これは唯一、正逆を取る方式。カードの裏の模様で正逆が判別できない場合は、トランプに印を付けろと書いてあるが、木星王氏が指摘しているように、スプレッドしたあとでいちいち正逆の別を覚えていられないし、確かめるために都度ひっくり返すことも実占では無理。それ以前にトランプに印を書き込むなどということが許せないと。正にその通りと思う。ただしスプレッドの解説は参考になる。
他にもあるようだが、小生が所持しているものはこれが全て。
トランプの象意は木星王氏と火星人氏のものが一致する。これは欧米の伝統的なCartomancyの解釈と一致している。深めてゆくと必ず欧米の文献に当たることになるが、その際に初学から象意を一致させておくのは重要だと思うことから、木星王氏および火星人氏の著作は実占には良いと思う。骨牌占は易をされる方には雑占などと言われるが、なかなかどうして奥深いものがある。