弘法大師口伝 四目録占
占に関する話題が続くが、今ではあまり目にすることがない占として四目録占がある。四目録占あるいは目録占といい弘法大師の口伝ということになっている。現在、関連書籍はあまり見つからないが、江戸時代にはある程度ポピュラーだったようだ。
この四目録とは4つの変数、すなわち問占者の年齢(江戸の当時は年齢と言えば数え歳)、年の数、月の数、時刻の数を合計し、それを八払いした余りの数字で易の卦(小成卦)を出してそれぞれ問占ごとに卦の意味をみるという占である。
例えば、年齢20歳、12月10日、八つ時ならば20+12+10+8=50となり、これを8払いして余りは2。これにより易卦は澤となる(〇●●)。
これをこの占の一覧表で問占の種類に引き当てて観るわけだが、澤の卦での例えば失せ物は「かくす」となっている。誰かが隠しているな、などという判断になる。
弘法大師空海の口伝なので、占の前には手を洗い口を漱ぎ、「南無大師遍照金剛」と三度唱えることになっている。
時刻で卦を得るというのは無筮立卦で易でも行うので取り立ててこの占に特有な操作ではないが、占的が複数ある場合には使えない。ここぞという時に易者を頼らずに自分だけで観ることが出来るので当時は重宝されたのだろう。
伝弘法大師ということは、高野聖や修験者などが行っていた可能性は強いと思う。
興味深いのはこの表が資料によりさまざまだということで、項目の数も違い、また同じ項目でも判断が異なっていることだ。なかには生死霊や祟りという項目もあり、これはやはり修験者や行者がこの占を使っていたことの証左ではないかと思う。祟りなどの原因を突き止めてそれを祓う修法を行っていたのだろう。
うもれた占としてはなかなか興味深い。
【資料】
国立国会図書館デジタルコレクションの「四目録占」での検索結果