セドナメソッドとヴィパッサナ
セドナメソッドについては以前から思考場療法といわれるEFT、TFT療法などとともに気に掛けていましたが、ここで解説書の「新版 人生を変える一番シンプルな方法―セドナメソッド」(ヘイル・ドゥオスキン著、主婦の友社刊、2008年。新版は2014年)を読む機会があり、纏めてみたいと思います。
出版社による同書の説明を引用すると、
セドナメソッドは、1970年代に故レスター・レヴェンソンによってはじめられ、驚くほどシンプルに人生を変える方法として広まりました。本書は『ザ・シークレット』にも登場する世界的指導者ヘイル・ドウォスキンがセドナメソッドを体系化し、これまで米アリゾナ州のセドナでしか受けることのできなかったセミナーを1冊の本にまとめたものです。用意された質問に答えていくだけで、気持ちの切り替えをいつでもどこでも自分で行うことができ、人生を望む方向へ進めていこうとする際に障害となるマイナスの感情を、簡単に手放すことができるのです。アメリカでは多くの「成功者」と呼ばれる人たちがセドナメソッドの効果を実証しています。『ザ・シークレット』に登場する教師24名のうち3分の1以上が、セドナメソッドの体験者です。本書は、セドナメソッドの基本である「解放力」を引き出す第一部、人間関係や仕事、お金、健康などより実践的な効果を上げるための第二部によって構成されています。
とのことですが、手放しの法則と言われるようにこれは感情解放のメソッドであり、その方法は非常にシンプルです。
ある感情が起こった時に
1.この感情を認めるか。
2.この感情を手放すことができるか。
3.この感情を手放すか。
4.いつ?
という問いかけをすることにより、「永遠に」手放せるというのです。
1~3まではyes, noの回答となりますが、これが例えnoであっても質問を進めてゆき、最後のいつ、というところで今手放す、という回答で締めくくります。
1でいつもは薄々感じてそのまま流していた感情に改めてフォーカスし、2,3でそれをさらにハッキリと認識するよう促し、さらに4でこの場で開放することを確認させる、こういう流れになっており、単純化すると感情の認識行為と言えるのかも知れません。
つまりこのメソッドは、感情を意識に上らせ明確に認識させることが感情解放につながると言っているのです。
日常生活で意識している感情は実は潜在意識から立ち上る気泡のようなものです。
このメソッドはその気泡に「気づき」、「認識する」ことにより、その感情はコントロールが可能になると考えているのです。
これは潜在意識と顕在意識を結びつけることで感情を開放する、と言い換えても良いかも知れません。
こう考えてゆくと、思い出すのがヴィパッサナ瞑想です。
この瞑想も瞑想中に思い浮かんだ思いを逐一再認識することで客観化してゆきます。
まるで潜在意識の澱のなかから沸き起こる悪感情やトラウマを一つ一つつまみ出してはそれにスポットライトを当てて消しこんでゆくような感じの瞑想なのですが、このセドナメソッドに似てはいないでしょうか。
また、このセドナメソッドに特徴的なのは願望に対する考え方です。
とはいえ私はこの手の自己啓発に明るい訳ではないため、これがこのメソッドに特徴的なものかは知りませんが、私が受け取った限りでは「願望はその思いを認識する時点で実は願望から遠ざかっている」というものです。
願望するということは願望が実現できていないことを再認識している、つまりはこういうことです。
このため、セドナメソッドでは願望達成のため、この願望意識をまずは先の手順で開放してしまうのです。
まるでパラドックスのようですが、ここは非常に重要なポイントのような気がしています。