東雅夫 加門七海 「僕らは怪談巡礼団」
加門七海の新刊が出るとつい買ってしまう。
本書はメディアファクトリーの刊行になる雑誌「幽」の連載で、日本各地の霊地を東雅夫とともに巡礼するという趣向の紀行をまとめたもので、いわゆる「見える人」である加門と古今東西の怪談に通じた東が京都、岩手、鏡花ゆかりの地などを訪れるというものです。
加門の「見える人」ぶりは他の著作でも堪能出来ますが、別の著作に収められた日記を読むと、その片鱗が伺えます。
常日頃ちょっとした怪異に触れながら過ごすというのは、考えてみれば近代化以前の日本人が自然と共存しながら常に感じていたことなのかも知れません。
それは昔の夜の闇の濃さが薄れてゆくに連れ次第に遠ざかっていった感覚なのでしょう。加門と東の掛け合いを読むとどことなく何か懐かしい感じがするのはそういったこともあるかも知れません。メディアファクトリー、2014年。