遠藤宏之「地名は災害を警告する」

3年半前の東北大震災から御嶽山の噴火、土砂災害、都市部のゲリラ豪雨など昨今、大規模なものから小さなものも含めて自然災害が頻発しているように感じます。御嶽山のご祭神が国常立尊であられることからそこに何らかの意味やメッセージを読み解く方もおられるようです。常に自然に対して畏敬の念を抱き万物に霊在りと感じるのは日本人の特質で今回の噴火も自然の不可思議な作用の発現であり、その霊威を間近にみることで一層その感を強くするのです。不幸にも災難に遭われた方々にはご冥福をお祈りいたします。

さて、各市区町村にはハザードマップというものが作られており、ホームページ等で確認することが出来ます。新しく家を買う、引っ越しをされる場合には今では事前にこれをチェックするというのは半ば常識となっています。これから住むところが過去どのような災害に遭い、ある一定の条件下での大雨ではどう浸水するのか。以前にエントリした古地図の参照とともにやはりチェックしておくに越したことはないと思います。

東京都であれば各市町村へのリンクページが便利です。
東京都建設局 洪水ハザードマップ
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/suigai_taisaku/index/menu03.htm

最近、興味深い本を読みました。
遠藤宏之著「地名は災害を警告する 由来を知りわが身を守る」(技術評論社、2013年)です。

地名は災害を警告する ~由来を知り わが身を守る (tanQブックス)

災害が起こりやすい地名は先人が長い間の経験からここに住んではいけないという意味を込めたものだというのです。しかし経済が優先し土地開発がくまなく行われることでその地名が変わり、もともとの意味を失ったり読みを良い意味の漢字に変えたりなどして本来の意味が汲み取りづらくなっているケースがあるというのです。また、土地の開発を行うに際し、企業がいかにも美しい名前をごく最近になって付ける場合、この本では「イメージ地名」と言っていますが、そんなケースでは殆ど意味が分からないということになります。

それでも地名表記の漢字にとらわれずに読み、つまり発音から本来の意味を汲み取ることができるというのがこの本の内容で、さまざまな例が豊富に紹介されています。巻末には辞典も付されており、さながらこの本自体がいわば災害地名辞典のようにも使えるようになっています。

例えばカマという語。これは古語の噛むであり津波でえぐられた土地の名前で、塩釜などは東日本大震災で記憶に新しく、鎌倉もこの謂いというのは意表を突かれましたが、その証拠に大仏が露座であるのは過去建屋が何度も津波で流されたからというのには驚きました。関東でも大津波が来れば鎌倉も波に洗われる可能性があるのです。

自分の住んでいる場所がどのような「土地の記憶」を持っているのか、読んで損はないと思います。

 

 

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