碁盤療法とピゴティ(Peggotty board)

何の本だったか今では思い出せませんが、おそらく代替医療に関する本だったかに碁盤療法という療法が記載されていたのがずっと記憶の端に引っ掛かっていました。

この語感からラジオニクスのピゴティ(Pegotty board)を想像していたのですが、ある時ふと思い出して国立国会図書館のデジタルライブラリーから「碁盤療法秘伝録」のハードコピーを入手する機会を得ました。通常、このライブラリはPCでダウンロード出来るのですが、一部の文献は国会図書館か端末のある地方の図書館でのみ閲覧可であり、その際はわざわざただでさえ重い腰を上げざるを得ないのです。

ピゴティは碁盤状にマス目の引かれた板に鋲、即ちペグ、テントを張るときに地面に打つようなあのペグですが、を打つことで使用するラジオニクスの一種ですが、デラワー型のラジオニクスのレートだけをセットすることで物質や想念の複写、放射が出来るとの考えを基にしたものです。

このピゴティの開発者であるDallel Butcherは、デラワー型ではスティックパッドや振り子のオペレーションが出来なかったために、レートさえ知っていれば操作可能なこのラジオニクスを考案したとの話があります。

このピゴティについては後ほど稿を改めたいと思いますが、碁盤療法もこのように、盤上に碁石を置くことによって波動を表現するようなものと想像したのですが、実際に先の文献を読んでみると驚くべきことに全く想像を裏切るものでした。

では一体、碁盤療法とはどのようなものでしょうか。
一言で言うならば、周易の卦を碁盤上に配置し、その碁石の上に灸を据えるというものです。

患者の症状に合わせた易の卦を問診によって定め、その卦をあらかじめ先天図を象った碁石の配置の中央に白黒を陰陽になぞらえて置いたのち、そのひとつひとつに何とお灸を施すという、いわば患者の症状を碁石に投影して間接的に行う遠隔治療とも言える施術なのです。

これは患者の投影を人形や碁石に行い治療するという意味では以前採り上げた銅人療法に通ずるものがあります。

この「碁盤療法秘伝録」の著者である秋永常次郎については殆ど情報がありません。
奥付をみると、当時大崎桐ヶ谷にあった東京碁盤療法研究所の刊行となっており、そこで施術が行われていたことを窺わせますが、その現在を調べてみるとなんらの痕跡も見いだせませんでした。

著者によるとこの療法の「発見者」(ママ)は尾川彦治郎という人で、この書の冒頭に近影を載せています。この尾川についても残念ながら情報を得ることは出来ませんでしたが、この書によると尾川が考案した「神賽易」という易がベースになっているようです。

この神賽易についても詳細が分かりませんが、その語感からおそらくサイコロで立卦する病占だろうと思われます。

碁盤療法に戻りますが、著者によるとこの施術は慢性病には効果なく、慢性に移行する前の段階で病根を叩くことが目的であり、三回乃至は五回の施術で殆どの病気は治るとしています。この書の刊行は昭和4年でありその当時の医師法、薬事法がどうなっていたかが詳らかではありませんが、治療自体は行われていた筈ですし、おそらく一種の祈祷に近いものだったのではないかと想像するのです。

これは易の応用といういかにも日本的なかたちを取った、日本におけるラジオニクスとも言えるのではないでしょうか。その後の伝承者はどうなったのか、昭和初期ということは、まだこの施術を受けた方が存命の可能性もあり、さらに調査を進めたいと思います。

 

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