愚者のノート

いつも使っている大学ノートのストックが無くなり、文具屋へ行ったのですが、お目当てのものがなく店員に訊くと入荷はないとの返事でした。私が使っているノートはTS製のB5変形サイズ、31-103 Y40です。

クリーム色の上質な紙で万年筆で書いても滲まず裏写りせず、その佇まいが上品かつ優雅で使うほどに増す風合いは本当に素晴らしいものです。

とは言っても、随分前に買い溜めていたものがようやく無くなったという状況で、前回買ったのはもう十年以上前のことです。

いざ、買おうとするとないという、いかにもマーフィーの法則然とした展開に半ば可笑しみまで感じつつ店員に訊くと、このTSという会社はもう存在しないということでした。

予想だにしない話に驚きつつ、ネットで調べると既に別のMDSという会社に吸収されているようでした。

http://www.mds-japan.co.jp/original/notebook/31-103.php

上記のリンク先がこのノートです。
紙質はOKフールスという高級紙で色は目に優しいクリーム。罫線が主張し過ぎない程よい灰色で、書こうとする意欲を妨げません。

大手のよく見るノートは色が白過ぎて目が疲れるし、表紙がツルツルのコート紙と風合いに欠けるので好きではありません。

そもそも大学ノートはもう使われなくなっているのでしょうか。
本棚に並べた時に内容が分かるように背にラベルが貼ってある、あの大学ノートです。

昔、古井戸というフォークバンドが裏表紙にさなえちゃんを描いた、あの大学ノートです(しつこい上に古い)。

ルーズリーフは時系列が曖昧になりページが散逸するので好きになれません。
書き損じも含めて残るのが逆にノートの良さでもあります。

普段、プライベートではモレスキンを使っていますが、仕事ではこの大学ノートでないと調子が出ないのです。

モレスキンも昔は良かったが、最近は変なプロモートをするようになって心が離れつつあります。裏写りする紙質もよく考えてみれば使いづらいのです。

などと考えつつネットを調べてゆくと、フールス紙というのは正式にはフールスキャップと言い、昔イギリスで道化の帽子を商標としてそのマークを漉きこんだ紙から来ているようです。なるほど、フールは道化、タロットで言えば愚者のカードです。型にはまらない発想、という意味では如何にもノートにふさわしい。

まだかろうじて入手出来るようですし、amazonでも扱っているようですが、本体と同じほどの送料を払って買うのも癪だし、出来れば近くの店で入手したいものです。

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